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大阪高等裁判所 平成4年(行コ)9号 判決 1992年10月29日

京都市中京区油小路夷川上る橋本町四八四番地

控訴人(A事件原告)

冨士興業株式会社

右代表者代表取締役

富田謙三

京都市上京区下長者町通浄福寺西入新御幸町五二番地

控訴人(B事件原告)

金丸太一郎

右同所

同(同)

金丸康治

京都市右京区嵯峨柳田町四番地嵯峨グリーンハイツ五〇三号

同(同)

辻村祐子

京都市伏見区醍醐新開三番地の八

控訴人(C事件原告)

藤井敏夫

京都市伏見区醍醐江奈志町一〇番地の一四〇

同(同)

赤畠美和子

京都市中京区油小路夷川上る橋本町四八四番地

亡富田保治訴訟承認兼亡富田ヨシ訴訟承継人

控訴人(D事件原告)

富田順一

京都市左京区上高野防山一番地の一八

同(同)

富田謙三

京都市山科区西野大鳥井町一一八番地の二

同(同)

富田征義

京都市上京区下長者町通浄福寺西入新御幸町五二番地

同(同)

金丸喜久子

京都市左京区上高野防山一番地の一八

控訴人(E事件原告)

富田謙三

右同所

同(同)

富田哲史

京都市中京区聚楽廻東町一五番地の一グラン・ドムール聚楽三〇五号

同(同)

富田謙一郎

大阪府守口市槁波西ノ町二丁目四三番地アーバンハイム守口二〇二号

同(同)

高井(旧姓富田)典子

京都市左山科区西野大鳥井町一一八番地の二

控訴人(F事件原告)

富田征義

右同所

同(同)

富田美保

京都市中京区油小路通夷川上る橋本町四八四番地

控訴人(G・H事件原告)

富田保一郎

右同所

同(同)

富田宏子

岐阜県本巣郡北方町桂本豆田一四二番地

グリーンハイツ・アンドウ二〇六号

同(同)

笹井(旧姓富田)順子

京都市中京区油小路夷川上る橋本町四八四番地

控訴人(H事件原告)

富田順一

京都市西京区桂河田町二二番地

メゾンプルミエール桂四〇三号

同(同)

下司(旧姓富田)千晴

右控訴人ら訴訟代理人弁護士

森川清一

京都市中京区柳馬場通二条下ル等持寺町一五番地

被控訴人(A、D、G、H事件被告)

中京税務署長 西田邦輔

京都市上京区一条通西洞院東入元真如堂三五八番地

被控訴人(B事件被告)上京税務署長

谷口正昭

京都市伏見区鑓屋町無番地

被控訴人(C事件被告)伏見税務署長

多田甲子夫

京都市左京区聖護院円頓美町一八番地

被控訴人(E事件被告)左京税務署長

田中鉄夫

京都市東山区馬町通東大路西入ル新シ町

被控訴人(F事件被告)東山税務署長

山本安弘

右被控訴人ら指定代理人

小久保孝雄

青山龍二

大築誠

和田晤郎

太瀬健詞

主文

一  本件控訴を棄却する。

二  控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一当時者の求めた裁判

一  控訴人ら

1  原判決を取り消す。

2  (A事件)

(一) 被控訴人中京税務署長が控訴人冨士興業株式会社(以下「控訴人会社)という。)対しそれぞれ昭和五九年三月三一日付けでした次の各処分をいずれも取り消す。

(1) 控訴人会社の昭和五五年三月一日から昭和五六年二月二八日までの事業年度分(以下「昭和五六年二月期分」という。)の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分

(2) 控訴人会社の昭和五七年三月一日から昭和五八年二月二八日までの事業年度分(以下「昭和五八年二月期分」という。)の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分

(3) 控訴人会社の昭和五六年二月分、昭和五七年二月分及び昭和五八年二月分の各源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分

(二) 被控訴人中京税務署長が控訴人会社に対し昭和六〇年三月一二日付けでした控訴人会社の昭和五六年三月一日から昭和五七年二月二八日までの事業年度分(以下「昭和五七年二月期分」という。)の法人税の再更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消す。

(三) 原判決中、被控訴人中京税務署長が控訴人会社に対し昭和五九年三月三一日付けでした控訴人会社の昭和五七年二月期分の法人税についての更正処分の取消請求の訴えを却下した部分を、京都地方裁判所に差し戻す。

3  (B事件)

被控訴人上京税務署長が控訴人金丸太一郎、同辻村祐子及び同金丸康治に対しそれぞれ昭和五九年七月一一日付けでした同控訴人らの昭和五六年分所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

4  (C事件)

被控訴人伏見税務署長が控訴人藤井敏夫及び同赤畠美知子に対しそれぞれ昭和五九年一二月二五日付けでした同控訴人らの昭和五六年分所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

5  (D事件)

被控訴人中京税務署長が承継前の一審原告亡富田保治及び同亡富田ヨシ(右保治、ヨシの承継人は控訴人富田順一、同富田謙三、同富田征義及び同金丸喜久子)に対しそれぞれ昭和五九年一〇月五日付けでした同人らの昭和五七年分及び昭和五八年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

6  (E事件)

(一) 被控訴人左京税務署長が控訴人富田謙三に対し昭和五九年二月一二日付けでした同控訴人の昭和五七年分及び昭和五八年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

(二) 被控訴人左京税務署長が控訴人富田謙一郎、同富田(高井)典子及び同富田哲史に対しそれぞれ昭和五九年一一月一二日付けでした同控訴人らの昭和五七年分所得税の各決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

7  (F事件)

(一) 被控訴人東山税務署長が控訴人富田征義に対し昭和五九年一〇月三〇日付けでした同控訴人の昭和五七年分及び昭和五八年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

(二) 被控訴人東山税務署長が控訴人富田美保に対し昭和五九年一〇月三〇日付けでした同控訴人の昭和五七年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

8  (G事件)

(一) 被控訴人中京税務署長が控訴人富田保一郎及び富田宏子に対しそれぞれ昭和六〇年三月一二日付けでした同控訴人らの昭和五六年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

(二) 被控訴人中京税務署長が控訴人富田(笹井)順子に対し昭和六〇年三月一二日付けでした同控訴人の昭和五六年分所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

9  (H事件)

(一) 被控訴人中京税務署長が控訴人富田順一、同富田宏子、同富田保一郎及び同富田(笹井)順子に対しそれぞれ昭和五九年一〇月五日付けでした同控訴人らの昭和五七年分及び昭和五八年分所得税の各更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

(二) 被控訴人中京税務署長が控訴人富田(下司)千晴に対し昭和五九年一〇月五日付けでした昭和五七年分及び昭和五八年分所得税の各決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

10  訴訟費用は第一、二審とも被告人らの負担とする。

二  被控訴人ら

主文に同旨

第二事案の概要

原判決二〇ページ七行目から八行目にかけての「土地と」を「土地を」に改め、次のとおり付加するほか、原判決の「第二、事案の概要」欄に記載のとおりであるから、それを引用する。

「(控訴人らの当審における主張)

控訴人会社が真に公社等の買収を予想し、縁故者を動員して土地の譲渡益を一人当たり三、〇〇〇万円に収まるよう低額譲渡したのであれば、控訴人会社に限らず、本件土地に隣接する他の土地の所有者もその縁故者を動員して同様の譲渡をしたはずである。そこで、公社等が当時買収した他の土地について調査したところ、控訴人会社以外に他の土地の所有者で縁故者に譲渡し、その後公社等に売却した事例は全くない。(控訴人会社のみが公社等の買収を予想し、隣接する他の土地所有者は全く予想しなかったということになるが、そのようなことはあり得ない。)

よって、公社等の買収の予想を前提とする低額譲渡の認定は全く根拠がない。

(右主張に対する被控訴人らの反論)

控訴人らの右主張は、隣接する他の土地の所有者が、公社等の買収を予想すれば、縁故者を動員して控訴人会社と同様の譲渡をしたはずであるとの根拠のない前提に基づいたものであって、失当である。」

第三証拠

原審及び当審各訴訟記録中の証拠関係目録に記載のとおりであるから、それを引用する。

第四訴えの適否の判断

当裁判所も、控訴人会社の本訴請求のうち、被控訴人中京税務署長が控訴人会社の昭和五七年二月期分の法人税について昭和五九年三月三一日付けでした更正処分につき、その取消しを求める控訴人会社の訴えは、これを不適法として却下すべきものと判断する。その理由は、原判決の「第三 訴えの適否の判断」欄に記載のとおりであるから、それを引用する。

第五争点に対する判断

当裁判所も、前記却下すべき部分を除く控訴人らの本訴各請求は、いずれも失当として棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加訂正するほか、原判決の「第四 争点に対する判断」欄に記載のとおりであるから、それを引用する。当審における証拠調べの結果は、右認定判断を左右しない。

1  原判決三八ページ一〇行目の「別表乙4記載のとおり、」を削り、同末行の「土地三〇筆を田中甚三郎ほか一四名から、約六、〇〇〇坪を、」「土地三〇筆、約六、〇〇〇坪を、田中甚三郎ほか一四名から、」に改め、同三九ページ三行目の「これらを」及び同四〇ページ二行目の「富士興業が当初申告した」を各削る。

2  同四一ページ四行目の「級官庁」から「資産税課」までを「級庁」に、同四三ページ七行目の「税務署」を「税務当局」に各改め、同四四ページ五行目の次に行をかえて次のとおり付加する。

「他方、右各株主総会においては、右未収金債権の存在を記載した貸借対照表も承認されており、控訴人会社の株主である本件土地の譲受人らは、当時から右未収入金債権が貸借対照表上存在することは認識していた(乙A一八、一九、原審における控訴人会社前代表者富田保治本人)。」

3  同末行の「時効援用書と記載した」を「消減時効を援用する趣旨の」に改める。

4  同四六ページ八行目から九行目にかけての「と推認できる。」を「であると認められる。」に、同一〇行目の「原告」を「控訴人ら」に各改め、同四七ページ一行目の「自ら」の前に「控訴人会社は」を加え、同三行目の「、ともあれ」を削り、同五行目の「ないない」を「ない」に、同六行目の「認めるのが相当である。」を「いうべきである。」に、同一〇行目の「原告」を「控訴人会社」に各改め、同行末の「直接」を削り、同四八ページ六行目の次の行をかえて次のとおり付加する。

「二 控訴人らは当審において、控訴人会社が真に公社等の買収を予想し、縁故者を動員して土地の譲渡益を一人当たり三、〇〇〇万円に収まるよう低額譲渡したのであれば、同会社に限らず、本件土地の隣接地所有者も同様の譲渡をしたはずであるのに、その事例はない旨主張するが、右主張は、隣接地所有者が公社等の買収を予想すれば、控訴人会社と同様の行為に及ぶはずであるとの不確実な推測を前提とするものであるのみならず、証拠(甲五五~八一)によれば、本件土地の隣接地は一ないし数筆ごとに所有者を異にし、一筆の公簿面積も最大一三八五平方メートルにとどまっていたことが認められ、右によれば、仮に隣接地所有者が公社等の買収を予想していたとしても、控訴人会社と同様の譲渡をする実益は乏しかったとみるべきであるから、右主張は採用することができない。」

5  同四八ページ九行目の「として計上した」を「を計上している」に、同四九ページ一行目の「いることなどに照らすと、」を「いるのであって、以上の各点からすると、」に、同二行目の「買主」を「買主である控訴人ら」に、同三行目の「認めるのが相当である」を「みるべきである」に各改め、同四行目冒頭から同九行目末尾までを削り、同一〇行目の「そして、原告らは、この点につき」を「もっとも、控訴人らは、」に改める。

6  同五一ページ三行目の「反面調査」から同四行目の「いえるけれども、」までを「反面調査による確認をしなかったことなどが、本件紛争の一因となっているとの見方もあり得ないではない。しかし、」に改め、同六行目の「ことを推認するに足るもの」を削り、同末行の「推認の妨げとなるものではない」を「に妨げない」に、同五二ページ一行目の「原告会社は、同会社が」を「控訴人らは、控訴人会社が」に、同六行目の「と親族関係」を「の親族」に各改め、同八行目の「照らし、」の次に「右買主である控訴人らは、」を加え、同九行目の「もので、原告会社」から同末行の「原告らの」までを「ものであり、前示のとおり、控訴人会社との間で、譲渡価額の変更につき合意したものというべきであるから、」に改める。

7  同五三ページ七行目の「原告の」を削り、同五四ページ一〇行目の「回収不能」の次に「に」を加え、同五五ページ三行目の「原告らは」から同七行目末尾までを次のとおり改める。

「控訴人らは、未収入金事件についての予備的反論として、控訴人会社から本件土地を買い受けた控訴人らが経済的利益を受けた時期は、売買契約が締結された昭和四九年ないし五〇年であるから、これに基づく国の税法上の債権は、会計法三〇条所定の五年の消滅時効により既に消滅しており、また本件更正処分等は、国税通則法七〇条所定の法定申告期限から三年という期間制限を超えてなされているから、いずれにしても違法である旨主張する。

しかし、別に認定判示するとおりの判示第二・二・4(一)の未収入金事件についての課税経緯及び同5の課税根拠から自ら明らかなように、被控訴人らは、控訴人会社から本件土地を買い受けた控訴人らがその時点で直ちに低額譲渡による経済的利益を受けたものとして本件更正処分等をしたものではない。すなわち右に判示のように、右売買契約締結後、控訴人会社からは二回にわたり修正申告がなされたので、右修正申告書に記載の売買代金の未収入金債権が存在することを前提とし、その後になって控訴人会社が昭和五六年二月期末、昭和五七年二月期末及び昭和五八年二月期末に右未収入金を回収不能として雑損失にそれぞれ計上した時点で買主である控訴人らにこれらに対応する経済的利益が生じたものとして、会計法及び国税通則法各所定の期間内に、本件更正処分等がなされたものである。そして、控訴人会社による各雑損失計上の時点において右未収入金債権が存在したこと及び右当時未だこれが回収不能とみられなかったことも、前判示から明らかであるから、控訴人らの前期主張は、採用することができない。」

8  同五六ページ二行目の次に行をかえて次のとおり付加する。

「当時者間に争いがない事実、弁論の全趣旨のほか、以下の各項の括弧内に記載の各証拠によると、次の事実を認めることができる。」

9  同九行目から一〇行目にかけての「南森町の土地を多近田の土地とほぼ同面積を」を「南森町の土地をほぼ同面積の多近田町の土地と」に改める。

10  同五八ページ一行目の「弁論の趣旨」を「弁論の全趣旨」に改める。

11  同五九ページの八行目の「す」の次に「ものである」を、同六〇ページ一行目の「事実」の次に「(各項の括弧内に記載の各証拠により認められる。)」を、同一〇行目の「土地開発公社」の前に「京都市」を各付加する。

12  同六二ページ七行目から八行目にかけての「これらはいずれも私的鑑定であるうえ、」を削り、同六三ページ一行目の「公社」を「同公社」に改める。

第六結論

よって、原判決は正当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却し、控訴費用は控訴人らの負担として、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 仙田富士夫 裁判官 前川鉄郎 裁判官 渡邊壯)

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